プラットフォーム技術

標的タンパク質分解誘導剤

当社は近年創薬困難とされる標的に対して新規モダリティであるタンパク質分解誘導剤にて創薬を目指しています。タンパク質分解誘導剤は私たちの体に備わっている分解メカニズムであるユビキチンプロテアソーム系を用いて病原タンパク質を分解する画期的なアプローチとして注目を集めています。

標的タンパク質分解誘導剤探索プラットフォーム「RaPPIDS™」について

当社は、標的タンパク質分解誘導剤に特化した独自のプラットフォーム技術であるRaPPIDS™(Rapid Protein Proteolysis Inducer Discovery System)を構築することで、自社のパイプラインに加えて、製薬会社との共同研究を獲得するハイブリッドのビジネスモデルです。
当社のビジネスの源泉となるRaPPIDS™は常に研究開発投資を行い、改良と拡張を繰り返しております。

①基本機能

当社独自の技術であるRaPPIDS™は、多様性志向合成(Diversity-oriented synthesis: DOS)をベースとした標的タンパク質分解誘導剤の創薬プラットフォームです。RaPPIDS™はリード創出とリード最適化の2段階で構成されます。
最初のリード創出段階では、複数のE3リガーゼバインダーとリンカーの組み合わせで構成された“Ready to Conjugate Probe”を用いて、短期間で20個から50個の標的タンパク質分解誘導剤を作成します。ここで、標的タンパク質の分解を誘導する上で適切なE3リガーゼとリンカーの長さを特定し、早期にリード化合物を創出することができます。
次のリード最適化段階では、得られたリード化合物を基に半自動化したハイスループットDOSのアプローチで、より多様性に富んだ多くの化合物を短期間で合成します。リンカーだけでなくE3リガーゼバインダーもフラグメント化することで最適な医薬品候補化合物を短期間で創出することが可能です。
標的タンパク質の分解活性に重要な三者複合体(標的タンパク質、化合物、E3リガーゼの三つ)のモデリングを行い、正確に分解活性を予測することは現時点では困難であると考えており、効率よく多くの化合物を合成し評価することが標的タンパク質分解誘導剤の創薬研究においては非常に重要であると考えております。

②新規E3リガーゼバインダーの探索機能

標的タンパク質分解誘導剤の創薬研究を行うにあたって、タンパク質の分解性能に大きく関与する「E3リガーゼバインダー」が非常に重要です。そのため、各社独自のラインナップを拡充する戦略を採用しております。当社も同様にE3リガーゼバインダーのラインナップを重要視しており、プラットフォーム技術の進化を図る際には、合成・評価の効率性に加え、新規E3バインダーの探索機能も開発いたしました。